オリジナルキャラクターのお話を紹介。本編はまだ待って(爆)

10/16:地下宮殿の占い師Vol.1

作者コメント:ちょっぴり長めに挑戦☆連載だー。頑張らねば!!
沙羅咲&クイーン&ミッシェルのお話です☆



そこの空気は酷く冷たく、
靴底と硬い石だたみが擦れるほんの小さな音すら、
ぶ厚い氷で覆い込むようにして、沈む。





地下何メートルかわからない。


目隠しのまま長く血臭漂う阿弥陀後光のような無数の条をどれ程歩いたろうか。

肌から伝わる温度が唐突に変化を告げると同時に、
頭を圧迫する鉄製のアイマスクから解放される。

しかし視界に飛び込んだ「それ」を見て、
今まで以上の息苦しさを感じざるをえなかった。





最初に脳裏に浮かんだのは、「水死体」だった。





「それ」は、漆黒の闇が支配する巨大な広間の中央で、
檻のように天井に延びた青白い光に捕われていた。


水をイメージさせたのは、その青い光を
白い肌が反射して揺らめいていたからだろう。


痛々しい…と簡単には言えないほどに痩せ細った四肢と、
服と呼ぶにはあまりにも汚い布を縁取って見せるように、
身長よりも長いブラウン髪が流れる。

あばらが見えた胸はまさに今まで乱暴されたかのように大きく服を乱されて、
細い足を逃がさぬよう、内側に無数の杭が打ち込まれた足枷が、ジットリと黒い液体を滴らせる。


そんな惨いものを見て、
目を反らせずにいるのは、
私の精神が病んでいるから…だけではない。


軽く開き、迷い人を抱き寄せるような両腕から
完璧なる慈愛を溢れさせて微笑む。


私を含めこの世界の貴族達が今まで見得た聖母像に
「それ」が浮かべるアルカイックスマイルが勝っていたように感じられたから。

「それ」の頭の登頂近くに、野良犬のような耳がついていて、
顔の半分程を汚れた包帯が巻き付いているのを差し引いても十分過ぎるほど。

暫く見つめたあと、「それ」の肩が微かに上下していることに気が付く。






生きている。








それに気が付いた途端、2つの名前が降り落ちる。




1つは自分が知りうる限り、青い光を乗せて輝く「それ」に当てはまる名前。


そして、もうひとつは…


「…アスさん…」


違うと分かっていて、
意識的に出さざるをえない衝動に負け滑らせた名前に、
吐気を感じるくらい胸を圧迫させられた。


よろめいてしまうのではないかと思うほど、全身の力が抜ける刹那。
背後に着いていた、我が部下のスリーが私の肩を支える。


再び視線を上げて「それ」を見ると、この静かな空間で、
小さいながら発した私の言葉は
幸い届きはしなかったように反応が無い。

いや…聞かなかったフリをしているのか。
やはり死体なのか。
耳が不自由なのか。



そんな、無意味な思考に終止符を打ったのは、
私をここに招いた悪魔の声だった。

もう何年も聞かなかったというのに、
懐かしむより煮えたぎる憎悪と悲しみを一瞬にして蘇らせる、
低く冷たい女の声。


「よく参られた。バドン・ミッシェル公爵。」

「お招き光栄にございます。
クイーンサファイア。」


私は声の方へ有らん限りの憎悪を返事に忍ばせ、一睨みしてから、跪いた。

パラディメ小説(番外)  

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